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Plant's Work

 

みんなに植物とHAPPYを。

どん底でしたね。

去年くらいまで(笑)

去年くらいまでは、キツかったですね。

こういった狭い趣味の業界は出る杭は叩かれる風潮があるので、単なる転売屋だとか、本物を扱ってるのか怪しい、とか言われて、僕、こう見えて意外とナイーブなんで(笑)1週間メシ食えなくて、ガリガリになっちゃって。

 

その時は、仕入れ先も少なくて満足に仕入れも出来ない状態だったんで、一か八か、関西のセリに30万円握りしめて行ったんですよね。

で、僕って見かけによらず、凄い人見知りなんですけど(笑)

勇気を振り絞って知らない人に話し掛けてみたんです。

そしたら、ラッキーな事に、その人が京都の有名な趣味家*の方を紹介してくれて、連れて行って貰ったんですよ。

 

当然、こんなどこの馬の骨ともわからない若造が来たって、有名な趣味家の方が、普通相手にする訳ないじゃないですか。

でも、その人の紹介だったんで、売ってもらえる流れにはなったのですが、

『ウチのは高いでー、でも兎に角選んでみて、そしたら俺が値段を付けてやるから、お金が足らないやつは弾いていけば良い。』って言われたんですけど、

でも平気で1本10万円とかの世界ですから、全く足りない訳ですよ。

 

で、僕が選び始めてしばらくすると、その趣味家の方が

『ええ目もってんな。大体、君が選んで来た植物、俺が気に入ってる植物やわ』と言って貰えたんで、

『マジ嬉しっす。そんな有名な方に言って頂いて』って。

 

その人はキャリア50年位の方なんですけど

『いや、これは本当にお世辞じゃない』って、

『俺は、この植物を見るセンスだけは、どんなにキャリアを積んでも、磨けんと思ってる。栽培技術とかは磨けても、センスだけは別。これは俺の持論』

『俺は、センスの有る若者には投資したい』

 

*趣味家=業者とは違い趣味の世界で栽培を究めてる人

『さっき、お金が合わなかったら、弾けよって言ったけど、

俺には、もう一つ持論があって』

『植物は一期一会やから、その時に欲しいと思ったものは、その時に手にいれんと、絶対に二度とそのチャンスは訪れんと思ってる』

『だから、今日あるだけ金を置いていけ。その代わり、この植物は全部持って帰れ』って

『でも、全然足りないんで良いです』

『じゃあ、君の出世払いにしろ。今日、君が買ったのは、メモしておくから、君が儲かったら返しに来なさい』って言ってくれたんです。

 

それで、全部持ち帰らせて貰いました。

で、それが、ラッキーな事に、一ヶ月でバンバン売れて、翌月すぐに代金を返しに行って、

『ありがとうございました!また仕入れさせてもらって良いですか?』

『おーええで』で

『またお金は、次でも良いですか?』って言ったら、『おー、ええ、ええ。みんなそうしてるんやから業者のやつは』

『えー持って帰れ持って帰れ』って言って貰って。

 

今はそんな風に、段々仕入れ金額も順調に増やしていけてる状態で、その中でも手元に残したい植物は、残したりしてますけど、基本、利益は全部植物の仕入れに当ててますね。

 

そんな訳で、今バンバン良い苗を出していけてるんです。

そうすると、あいつはちゃんとしたヤツだと評価して貰える様になってバッシングも自然と無くなりましたね。

 

そうやって、去年はピンチな事もあったし、めちゃくちゃ悩んで、これでサボテン業界で食ってくのって不可能に近いなって所もあったし、仕入れも厳しくて、でも年間に増える本数は決まってて。とてもじゃないけど、採算合わんわと思ってました。

 

何か、要所要所でピンチがあって、でも要所要所で、その京都の方みたいに、何か助けてくれる人が居て、下関の中村さんとか、宮川さんとか、山口の佐伯さんとかですよね。

やけー、僕ってホントラッキーだなって思ってます。

実力が無いのに、取り敢えず二年半メシ食っていけてるんで(笑)超ラッキーと思ってて。

 

でも今度は、その恩をどうやって返そうか真剣に悩んでます(笑)

3%の繰り返し

品種改良は、基本遺伝子を掛け合わせていく作業なんで、

当然、良いヤツ同士を掛けると、勿論、良いヤツが出来る可能性は高いんですけど、大した事無いヤツ同士で掛けても突然凄いのが出る場合も有ります。

 

でも起業した最初(二〇〇九年)の交配は、お金が無いので、一本十万なんて、そんなに量を買えないから、ただひたすら必死に数を蒔いて、突然変異に掛けてましたね。

 

これなんかは、稲妻万象*とドラゴン万象の掛け合わせなんですけど、割合としては、百本、実生*したものの内、基本三本残すんですよ。まだ小さいうちに。

 

残りは、売っちゃいますね。

でも、その売っちゃった中で、たまに大器晩成で、とんでもないのが出る事も有ります。

それを業者とか趣味家は、狭い業界だから分かるんですよね。

「やべー良いの出た。あれ、俺が実生したパターンじゃん。」って買い戻すんですよ。

十年後、二十年後とかに(笑)当時の何倍もの金額で。

やっぱり、自分が蒔いたって思い入れと良い物を手元に置いときたいって思いが有るんですよね。

 

それこそ、今トップレベルの品種で、万象の「明日香」っていう品種は、塚原さんっていう有名な人が、二十年前に作った品種で、今は世界で最高級のものになってます。

 

ハオルチアでは、日本は今トップレベルで、世界的な流行してるんです。

アメリカ・ヨーロッパ・中国、世界中から日本に買いに来るんですよね。

 

それをさせてくれたのは、二十年、三十年前に作った、やり始めてくれた人達の文化なんで、そのお蔭なんです。

 

『品種改良はアート』だと思ってるんで、それを仕掛けて、ずっと続けて来てくれた人達の事は、基本全員リスペクトしてます。

 

 

*万象(まんぞう)=多肉植物の種類の名前

*実生(みしょう)=種から蒔いて育てる栽培法

そもそもは、ハオルチア。

服飾の学校を卒業して、スポーツ店で働きました。元々バイトしてて気に入られて入ったんですよね。

そこで、売上も20%UPさせたりしたので、社長からも評価して頂いてました。

で、全店舗の責任者を任せるから辞めるなって言われていたんですけど、結構、自分の中でやりつくした感も有り、二十三歳で辞めました。

 

そこから、全く植物に興味は無かったんですけど、店長が知り合いだった園芸店に入って、最初は、観葉植物をベタに勉強したんですよ、やるからには得意技が欲しくて。

 

でもある時、見た雑誌で、『盆栽と多肉植物』の特集を組んでいたんです。

いわゆるモダンで近代的な建物なのに、そこに盆栽や多肉をインテリアとして置くっていう特集でした。

 

で、最初は盆栽をやりたかったんですけど、奧が深くてビビッてたんですよ。

そしたら、知り合いの盆栽やってる人が、

『盆栽って漢字どういう字か知ってる?盆って器じゃん。栽って植えるって事やろ。要はそこら辺の器に、そこら辺の雑草を植えたって盆栽になるんよ。やけ、まずは、やってみたら良いんよ』兎に角、伝統にこだわらんで植えてみろって。

 

そっから、何か吹っ切れて、色々やりだして、

最終的に、器や日本の文化に興味を持ち始めて、『茶道』もやり始めたんですよ。結局茶道は六年程やりました。

 

その内に、多肉の『オブツーサ(ハオルチア・オブツーサ)』に出会ったんですよ。

見て、衝撃を受けて、取り敢えず買ってみて、っていうのが多肉との始まりでしたね。

僕、凝り性だったんで、色々工夫して。

当時、やってる人も周りにいなかったし、今みたいにウェブサイトでも多肉やってる人は殆ど居なかったんで、

それこそ県内の古本屋に探しに行って、サボテンって名の付く参考書をばーって買い漁ってみたいな感じでしたね。

 

キッカケなんて些細な事なんですよ。

これが2005年の10年前に初めて買ったハオルチア。(← 上画像)

なんじゃこの植物と思ってデザインが好きだったので思わず買ってみました。買ってみたらハマっちゃって給料出る度に買いに行って、よっしゃ種蒔いてみようと思って種蒔いたら今こんな職業になっちゃったって感じです。

1本数万円も1本数百円も

両方やっていく

【グループ展や個展をする理由って何ですか?】

 

この業界の裾野を拡げる為ですね。

その為には色々な人にサボテンを触ってもらって、見て貰って1人でもファンを掴む。

 

さっきの僕の話じゃないですけど、どこにキッカケがあるか分からないから取り敢えずドンドン種を蒔いて行く感じです。

それがまずは、グループ展・個展だと思ってます。

 

僕自身はプロなので綺麗に育ててなんぼなのですが、しかし綺麗に育てるだけが植物だと思っていません。光が足りなく少々いびつな形でも、その人が愛していれば僕はそれも正解の一つだと思うし、まずは育ててみて欲しい。

 

毎回個展の時には、一日中ずっと喋ってるねって言われます(笑)

 

喋ってるのには理由があって、喋るのが好きっていうのもあるんすけど、植物を売る時は絶対喋らないといけないと思ってます。

結果的に綺麗に育たなかったとしても“綺麗に育てる為には”っていうのを絶対伝えないといけないと思うんです。

例え、1人のお客さんに掛ける時間が長くなっちゃって、全体の売上が悪くなったとしても僕は絶対それをすべきだと。

 

それは、マルシェや個展での販売や、あと園芸店に7年間位勤めた経験からなんですが、不思議なもので、切り花って水に挿してても一週間で枯れる、でもみんな次を買いますよね。

でも、鉢に植えられてる植物って一回枯らしちゃうと二度と買わない人が多いんです。

 

それは、例えば今まで観葉植物をやってて、あっこれサボテン可愛いって言って買うけども枯らしちゃうと『あっ私にはサボテンは合わないんだ』と諦めちゃう人が大半です。

家の環境が合わないんだと思ったりして。

だからやめておこう。となるからワンミスが許されないんで、極力説明をします。家の状況を聞いて、だったらここに置いて下さいと言う事にしてます。

 

結構人って最善尽くして枯れると『よっしゃ~次もやってみよう』と思うんです。

説明受けてたのに、今回はこの部分をしていなかったからと明確に分かれば『よっしゃ~次もまた買ってみよう。いつ時間空いてますか?』っていう風に次ぎに繋がっていくんですよね。

3つの“TOP”

【自分の中のTOPって何ですか?】

 

僕、3つあるんですよ。実は。

『稼ぐか』

『TOPレベルの品種を作れたか』

『どれだけ人に広めたか』

 

 

『稼ぐ』

でTOP獲るってのは、妬まれるし、強引な事もしなきゃならないし、そうするとそれを達成しても、それってHAPPYなのかな?と考えちゃうんですよね。

只、それをスタイリッシュに出来れば、HAPPYに出来るかな?でもきりがない気がする。

日本一になっても世界には桁の違う資金力を持った業者が居るだろうし。

 

 

『TOPレベルの品種を作れたか』

でも品種改良ってなると、目に見えないっていうか、見えるんすけど、美的感覚が入る。

主観というか。

だから意外と範囲が広くなるっていうか、自己満の世界にも入ってくるんすけどね。

 

 

『どれだけ人に広めたか』

これが一番有意義な事かなっていうか。

この場合、更に広くなるんで。

前の2つは拡がりが限定的。

その一方、広めるって言うのは、無限に拡がる可能性が有る。

例えば中村さんに拡げてそこからまた更に拡がる可能性がある。

 

これってHAPPYだなって。

[Interviewer]Tsugu

[Photo&Editor]YASUMURO

【Plant's Work】

 代表・プランツディレクター

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